三原城

登城記
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続日本100名城
所在地:広島県三原市

登城日:2025年3月

 小早川隆景が構築した城。三原駅ホームの隣が天主台という珍しい場所となっていますが、アクセスは最高です。天主台の大きさは一見の価値あり。

魅力度ポイント

 駅や街中にある遺構を巡って、在りし日の海城の姿を想像すると感慨深いです。天主台は広さ、石垣の高さ、堀の幅など、外側と内側の両面から楽しんでください。

点数はあくまでも個人的な見解です。魅力度ポイントの詳細については以下ご参照ください。

概略

 三原城は、1567年(永禄10年)頃に小早川隆景(毛利元就の三男)が水軍の要害として築城したのが始まりとされています。1582年(天正10年)頃からは三原城と東側の城下町の整備が進められています。1587年(天正15年)に、小早川隆景は豊臣秀吉から筑前国を加増されたため、筑前に居城を移します。その後、隆景は1595年(文禄4年)に家督を養子の小早川秀秋に譲ると、三原城に戻って隠居し、三原城や城下町を完成させたと言われています。隆景の死後、さらに関ヶ原の戦い以後は福島正則が広島に入り、三原城を支城とし、櫓の構築や城下町の改築などを行ったと言われています。

 縄張りは、梯郭式で天主台のある台形の形をした本丸二の丸を中心に、東側に三角形の三の丸東築出、西側に方形の西築出を設けた。各曲輪は瀬戸内海の海水を取り入れた水堀で囲まれ、南側は海に面しており、典型的な海城であった。天主台は設けられているが、実際に天守が建築されたことはないようです。

 明治維新後は、建物は競売にかけられ移築されたり用材として処分されたりして撤去された。1894年(明治27年)、山陽鉄道三原駅建設の際に、城域は駅の敷地として使用され、石垣も大部分が撤去された。1975年(昭和50年)の山陽新幹線開業三原駅高架化により、高架が天主台跡の上を通るような現在の姿になった。

別名浮城、玉壺城   
城地種類平城(海城)
築城年代永禄10年(1567年)   
築城主小早川隆景
主な城主小早川氏、福島氏、浅野氏   
文化財史跡区分 国指定史跡

見どころ

縄張

古絵図

 天主台跡の入り口にあった三原城の絵図です。真ん中の台形のような曲輪が本丸天主台のあった所です。南側が海で、海に浮かんでいるように見えるところから浮城とも呼ばれたそうです。大小の曲輪の組み合わせといい、海に面しているところといい、面白い縄張りですね。このままの姿を見てみたかった!

堀端にあった説明板

 こちらも同じ絵図ですが、現在残っている遺構が表現されています。青い線で示された天主台跡中門跡舟入櫓跡が主な遺構です。他はほぼ駅や線路、市街地に変わっています。

天主台跡(外観)

天主台跡の看板

 天主台の東側の堀際に「三原城跡 天主台跡」の看板があります。看板の後ろに見えているのが天主台跡の石垣です。 
 ※他の城では「天守」と使われるのが多いと思いますが、三原城では古絵図に従って「天主」と表記されています。

東側から見た天主台跡

 天主台跡の東側です。左に見えているのは新幹線のホームです。

天主台を囲む水堀

 東側から見た水堀です。天主台の南側以外の三方を水堀が囲んでいます。往時は海水が満ちていたと思われます。堀幅は広いです!

天主台跡の北東隅

 北東隅の石垣は算木積になっています。これは関ヶ原の戦いの後に三原城に入った福島正則によって築かれたものと考えられています。戦国時代後半の進化した積み方ですね。

天主台北側1

 天主台跡の北側の石垣を正面から見ています。天主台としてもかなり大きい部類に入ると思われます。後ろに見えているのは新幹線のホームです。現代の新幹線と約400年前の天主台が同じ景色の中で見られるのは三原城だけかもしれません。

天主台北側2

 すこし角度を変えて北側から見た天主台跡です。西側の石垣も視野に入れながら眺めるこの角度が最もカッコいい気がします。

天主台跡の北西隅

 写真はちょっと遠いですが、北西隅の石垣は不完全な算木積になっています。ですので、小早川隆景が築城した石垣と言われています。時代の違う石垣の積み方が同じ天主台で見られるのも面白いですね! 

天主台跡の西側の石垣

 西側は小早川隆景時代の石垣です。

隆景広場の石碑

 天主台跡の西側の堀端に「隆景広場」の石碑がありました。この辺りのことを隆景広場と呼んでいるようですね。戦国時代の武将の名前が付いている広場ってすごくいいですね。

小早川隆景の銅像

 付近には小早川隆景の銅像もありました。小早川隆景は人気があるんでしょうね。

天主台跡(内部)

天主台跡への入口

 天主台の上には、三原駅構内から行くことができます。駅の入場券は必要ありません。

天主台跡入口

 三原駅構内の入口の階段を登ると左側にガラスの扉があります。扉を開けるともうそこは天主台です。駅直結の近さです!

天主台東側

 天主台に上がって東側を見た写真です。ホームが本当に本丸の上に載っているのがわかります。

天主台西側

 こちらは西側です。堀と線路がよく見渡せます。

天主台北側

 こちらは北側です。幅広い堀と陸地側の市街地が見渡せます。

天主台内部(西側)

 天主台に上がって左側(西側)を見るとこんな感じです。天主台の中でも西側北側がさらに一段高くなっているようです。それにしてもほんとにホームが真横です。

天主台内部(南側)

 こちらは中心部あたり(天主台の南側)ですが、階段が見えると思います。階段上がって一段高くなった先が天主台の北端です。

天主台内部から北方を見る

 三原城からまっすぐ北に見える山が桜山です。備後桜山城という山城があるらしいです。そこからの景色も素晴らしいでしょうね。三原城の背後の天然の防壁という感じがしないでもないです。

天主台内部

 天主台は外側から見ても大きかったですが、内部に入ってみても相当に広いので、大きさを実感します。

礎石

 礎石と思われるものもありましたので、建物もあったのではないかと想像します。

本丸中門跡

本丸中門跡の石碑

 本丸中門跡は街中に溶け込むように残っています。石碑の後ろの水堀と石垣がそれです。

本丸中門跡の石垣と水堀

 三原駅の西口から出てすぐの所で、ペアシティ西ロードに面しています。

本丸中門跡の石垣と水堀の南端

 50mくらいは続いているように思いました。貴重な本丸の石垣の遺構です。

臨海一番櫓跡

 石垣の最南端には三原城臨海一番櫓跡の石碑があります。ここが本丸の南西隅にあたり、一番櫓があった所のようです。当時はここから南はもう海でした。

舟入櫓跡

舟入櫓跡の説明書き

 舟入櫓跡は、三原駅から東南の方角へ少し歩いた街中にあります。舟入櫓跡の南西側が公園になっていて、そこに写真のような説明板がありました。手書きに親しみを覚えます。「三原城研究会」「城町町内会」とあります。その方々が作成されたのでしょうか、ありがたい限りです。ただ、これによると石垣がはらんでいるということです。非常に心配ですね。

舟入櫓跡の南西側石垣

 舟入櫓跡の石垣です。立派な石垣ですね。

南西隅の石垣

 南西隅の石垣です。先ほどの「石垣がはらんでいる」とは、このあたりを指しているんでしょうか。石垣の間の隙間が広がっている感じがします。石と石を何かで繋ぐ補強がされているようにも見えます。なんとしても崩壊しないで欲しいですね。

南面の石垣

 舟入櫓は本丸から南へ海に突き出た形をしていたようです。なので、当時この辺りは全て海だったんですね。

南東隅の石垣

 海に突き出てた舟入櫓の南東隅は、自然の岩礁の上に構築されています。

岩礁

 その基盤となっている岩礁です。岩礁を活かして石垣を積み上げて、そこを城の南端として海に接する、そんな縄張りにしたということだと思います。とても理に適っていますね。

街中に点在する遺構

本丸石垣
本丸石垣(東側)

 中門跡や舟入櫓跡のような規模より小さいですが、所々に三原城の遺構は残っています。こちらは駅のホームの真下にある石垣です。天主台跡の東側に繋がっていく石垣だと思われます。部分的に補強の跡が見られます。

本丸石垣(西側)

 こちらは天主台の西側に連結している石垣です。奥に見える石垣が天主台の石垣です。駅ホームの建設のために上部が削られたのか、最初からこの形なのかわかりませんが、よくぞ残ったものです。

本丸北東部の石垣

 こちらも高架下にあります。駅から少し東に行った所ですので、本丸の北東側の堀に面した石垣だと思われます。石垣以外は近代的な建築物で周りが固められています。

その他の遺構
三原郵便局敷地内の石垣

 こちらは小ぢんまりとした石垣です。三原郵便局の敷地内にあります。舟入櫓跡の近くです。大正から昭和にかけて積み直されて、さらに埋め立てられたようですが、三原郵便局の新築に伴い、再び地上に姿を現しています。

本丸御殿の金之間跡

 こちらは三原駅西口の駅前にある金之間跡です。遺構としては何もなさそうですが、往時はここが本丸御殿であったことを示しています。

アクセス

JR山陽本線/新幹線「三原駅」から徒歩0分!ホームの横が天主台跡です!

スタンプ設置場所

 三原城の続日本100名城スタンプは、下記に設置されています。(最新情報や詳細は公式サイトにてご確認お願いします。)

・(一社)三原観光協会
・三原市歴史民俗資料館
※詳しくは三原市教育委員会のサイトをご参照ください。

・開館時間、休館日にご注意ください。

三原観光協会は三原駅の高架下(ホーム下)にあるので、駅の西口を出てすぐの所です。
遺構の場所がわかりやすく表示されている地図の付いたパンフレットがいただけます。散策のお供に最適です!城の遺構巡りの前に、まず最初に三原観光協会に立ち寄るのがお勧めです!

パンフレット
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