丸岡城

登城記

日本100名城
所在地:福井県坂井市

登城日:2019年5月

 現存12天守の中で北陸地方に残る唯一の現存天守。二重三階の望楼型天守で、笏谷石を使った石瓦や古風な外観は見応えがあります。

魅力度ポイント

 現存12天守のうちの1つです。天守の外観も内部も古式めかしい雰囲気がとてもかっこいいです。

点数はあくまでも個人的な見解です。魅力度ポイントの詳細については以下ご参照ください。

概略

 1575年(天正3年)、織田信長が北陸地方の一向一揆の平定を期して豊原寺を攻略した後、柴田勝家の甥の勝豊に豊原へ城を築かせた。1576年、柴田勝豊が豊原城を丸岡に移し、現在の丸岡城となる。その後、安井家清、青山宗勝などが城主となり、江戸時代は本多氏、有馬氏と続いて明治に至る。

 福井平野の標高17mの小高い丘陵に築かれた平山城で、本丸と二の丸を五角形の内堀が巡り、その外側を三の丸と外堀が囲んでいた。明治後は、廃城令などによって天守以外の城郭構造物は全て解体・移築され、堀も徐々に埋められていった。現在残っている主な遺構は天守及び天守付近の石垣となっている。

 その残った天守は、1948年(昭和23年)に発生した福井地震により倒壊してしまうが、1955年(昭和30年)に天守や石垣などの部材を70%以上再利用し組み直して修復再建された。1950年(昭和25年)には国の重要文化財に指定されている。

 尚、古風な外観や柴田勝豊時代の建造ということで、現存12天守の中でも「最古の天守」ではないかと言われていましたが、2019年に発表された丸岡城調査研究委員会の調査により、寛永年間(1624〜1644年)に建造されたことが判明されました。

別名霞ヶ城
城地種類平山城
築城年代天正4年(1576年)
築城主柴田勝豊
主な城主柴田氏、安井氏、青山氏、本多氏、有馬氏、他   
文化財史跡区分 重要文化財(天守)

見どころ

霞ヶ城公園

丸岡城案内板

 丸岡城の駐車場に隣接している一筆啓上茶屋にあった案内板です。城跡としてはそれほど広くないので、ここから天守までは歩いてすぐです。

霞ヶ城公園

 一筆啓上茶屋の裏、本丸の東側は霞ヶ城公園になっていて、庭園のような池があります。

霞ヶ城公園と丸岡城天守

 霞ヶ城公園から丸岡城天守方面を見ると天守が望めます。これから登城する天守が見えるとテンションも上がりますね。天守の手前に見えている建物は丸岡歴史民俗資料館(※)です。(※令和6年8月31日で閉館となるようです。)

天守

本丸から見る天守

 一筆啓上茶屋の横の道を登っていくと券売所を兼ねた公園管理事務所があります。入城料を支払って本丸に入るとすぐに天守が見えてきます。

丸岡城天守

 入母屋の上に廻縁のある望楼、板張りを含めた外壁の色合い、破風の感じといい、古式な外観でカッコいいですね!質素な感じはありつつも無骨な雰囲気がいいです。

 北陸地方で唯一の現存天守です。天守は二重三階の独立した望楼型で、高さは約12m、一階は塗籠(ぬりごめ)と下見板張、三階は柱や長押(なげし)などをそのまま見せる真壁造、屋根瓦は笏谷石(しゃくだにいし)の石瓦となっています。現存12天守で瓦が石製なのは丸岡城だけです。笏谷石は福井の足羽山で取れる石材です。

落下した昔の石製の鯱

 天守入口の階段の脇に石製の鯱が展示されています。この鯱は昭和15〜17年の修理で作成されたもので、昭和23年の福井大地震で落下してしまったものです。現在天守にのっている鯱は元々の木彫銅板張りで復元したものです。

腰庇

 丸岡城で珍しいのは一階の一番下に付いている斜めの屋根のようなものです。これは腰庇(こしびさし)といって、雨漏り防止用の板張り屋根です。丸岡城の天守は天守台より一回り小さく作られています。そのせいで天守と天守台の間に隙間ができるため、腰庇をつけて雨が入るのを防いでいます
 他の天守では石垣の端ぴったりに建物が建っていたりしますが、丸岡城の天守ではおそらく技術的に未熟でそれが難しかったのでしょう。

天守一階の狭間

 天守一階の外壁の所々に狭間を見ることができます。

天守の南側

 天守の南側の壁面です。狭間や格子の突き上げ窓、石落としがあります。天守の周りは回ることができますので、是非廻ってみてください。

天守石垣

天守台の石垣

 天守台石垣野面積みで、高さは約6.2mあります。荒々しい感じが天守ともよく合っていて、より一層古式めかしい無骨な雰囲気を醸し出しています。

天守台石垣の算木積

 天守の隅は算木積(さんぎづみ)になっています。

天守南側の石垣
天守の東南隅の石垣

 天守南側から見ると、東南の隅の石垣上部が出っ張ってました。(意図はよくわかりません…)

石垣の転用石

 天守南側の石垣には墓石と思われる転用石もあります。

天守内部

天守入口

 天守内部には階段を登って入っていきます。

天守内部の様子(二階)
天守二階の天井

 現存天守だけあって、木造で趣ある造りです。丸岡城の天守内部は三階建てです。通し柱がなく、一階が二階と三階を支える構造になっています。

二階から三階へ上がる階段

 丸岡城天守の階段は急で有名で、現存天守の中では傾斜角が日本一らしいです。一階から二階に上る階段が65度、二階から三階に上る階段が67度です。ほぼ垂直です…、手すりにはロープが付いています、ロープがないと昇り降りできませんね…。

二階の窓から見た景色

 二階の窓から外を見た景色です。窓枠と懸魚(げぎょ)がちょうど額縁のようになって、絵画のような写真になりました。

笏谷石の石瓦

 天守内部からだと笏谷石の石瓦も間近で見ることができます。

最上階からの眺望
最上階からの眺望

 天守の最上階である三階には四方に大きな窓があり、丸岡の町並みや福井平野、山並みを一望することができます。周りに高い建物がないので、東西南北どの方角も遠くまで見渡せて気持ちがいいです。

天守三階の天井

 天井や壁、柱を見ると年季が入っていて歴史を感じさせます。

丸岡城の模型

 天守内部には丸岡城の模型もありました。

霞ヶ城由来の井戸

霞ヶ城由来の井戸

 天守の南側に井戸があり、丸岡城が別名「霞ヶ城」と呼ばれる所以となった伝説があります。

霞ヶ城由来の井戸

 丸岡城築城後も一向一揆の攻撃はしばしばあったようですが、そのたびに井戸の中から大蛇が現れ、城に「かすみ」をかけて危機を救った、という伝説です。

アクセス

最寄りの駅はJR丸岡駅ですが、駅から約4kmの距離なので、バスかタクシーを利用した方がよいと思います。できればレンタカーなど車でいくのがおすすめです。

車の場合、無料駐車場が2ヵ所あります。どちらも城まで歩いてすぐの距離です。

スタンプ設置場所

霞ヶ城公園管理事務所

 日本100名城スタンプは、霞ヶ城公園管理事務所(丸岡城の券売所の窓口)に設置されています。

開館時間、休館日にご注意ください。スタンプの押下だけなら入城料は不要です。

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