平戸城

登城記

日本100名城
所在地:長崎県平戸市

登城日:2022年10月

 かつて海外交易で繁栄した長崎県平戸島、その北部の突出した丘陵上に築かれた平山城です。北に平戸港、東に海(平戸瀬戸)があり、海景の素晴らしいお城です。

魅力度ポイント

 天守、櫓が再建されていて、城郭の眺めとしても素晴らしい。勿論、天守最上階からの眺めも良いです。

点数はあくまでも個人的な見解です。魅力度ポイントの詳細については以下ご参照ください。

概略

 戦国時代、1599年(慶長4年)、松浦鎮信(法印)が亀岡の地(日の岳)(今の平戸城の地)に新城の築城を開始したことが始まりと言われています。12年以上の歳月をかけて完成したとされていますが、1613年(慶長18年)、完成したばかりの居城(日の岳城:現在の平戸城)を松浦鎮信(法印)が自ら放火し焼き払うという事件が起こりました。豊臣氏と親交が深かったことによる江戸幕府の嫌疑から逃れるためとも、最愛の嗣子久信の死によるものともいわれています。

 それ以来約100年の間、城の再建はされませんでしたが、1703年(元禄16年)、松浦家第4代藩主松浦鎮信は幕府に再築城を願い出て許可されました。翌1704年(元禄17年)、第5代藩主松浦棟(まつらたかし)によって着工され、1718年(享保3年)に完成しました。山鹿流軍学に基づく縄張りで構築されています。

 明治の廃藩置県によって廃城となりました。北虎口門狸櫓、北虎口門から伸びる塀の石狭間が現存しています。1962年(昭和37年)、三重五階の模擬天守及び見奏櫓乾櫓地蔵坂櫓懐柔櫓が再建されています。2021年4月に平成の大規模改修として、模擬天守の外壁内壁の補修及び展示品の完全リニューアルオープンしました。

別名亀岡城、日の岳城
城地種類平山城
築城年代宝永元年(1704年)   
築城主松浦鎮信、松浦棟     
主な城主松浦氏
文化財史跡区分 国指定文化財1件 

見どころ

北虎口門

北虎口門

 「平戸市未来創造館COLAS平戸」の前の無料駐車場から歩道を登っていくと北虎口門(きたこぐちもん)にたどり着きます。北側の守りで重要な役目を担った門であると考えられており、現存遺構です。石垣と石垣の間にのった「渡櫓」様式をとっています。平戸城の搦手にあたると思われます。

城内から見た北虎口門

地蔵坂櫓

北虎口門から見た地蔵坂櫓

 北虎口門を正面に見て右手の方(西側)に、北虎口門と石垣、土塀で連結されているのが地蔵坂櫓(じぞうざかやぐら)です。昭和37年、天守と共に再建されています。

地蔵坂櫓から見た北虎口門方面

狸櫓

狸櫓

 北虎口門の東側には狸櫓(たぬきやぐら)があります。平戸城に現存する唯一の櫓です。
狸櫓には伝説があるらしいです。櫓の床下に狸が住みだして、櫓の修理のため床板を全て剥ぎ取った時に、小姓に化けた狸が藩主の寝所にやって来て、我ら一族を櫓に棲ませて頂きたい、そうすれば城を永代守護すると嘆願したので、翌日、床を元通りに戻してやったという。それ以来、この櫓は狸櫓と呼ばれるようになった、ということです。

石狭間

石の狭間

 狸櫓付近の石垣に石狭間があります。通常、狭間といえば、土塀に設けられるものですが、ここでは石垣に設けられています。珍しいです。大阪城なんかでは石垣の一番上の石を加工して鉄砲狭間にしたもの(笠石銃眼(かさいしじゅうがん))があったりしますが、平戸城のような石狭間は他で見たことありません。(他にあるのかな??)

本丸

本丸門

 北虎口門を入って真っ直ぐ進んでいくと本丸門があります。さらに進むと天守閣です。

天守閣入口の石垣と階段

 本丸門を抜けると石垣と階段があり、階段を登っていくと天守があります。

天守閣入口の石垣と階段

 塀は再建されたものだと想像しますが、石垣は往時のものでしょうか。なかなか立派な石垣です。階段の先の右手に見えているのが天守です。

天守

天守

 階段を登ったら右手に天守があります。昭和37年に建てられた三重五階の模擬天守です。「歴史体験アミュージアム」になっていて、2021年4月に大規模改修され完全リニューアルオープンしています。100名城スタンプもここにあります。
 デジタルを活用した体感型の展示など、平戸の歴史や魅力を感じることができます。最上階にはスマホを使って遠隔カメラで天守最上階にいる自分を撮影することもできます。面白い設備です。おそらく見奏櫓の方にカメラが仕込んであって、そのカメラを遠隔で操作して最上階にいる自分が撮れる仕掛けになっていると思われます。記念になるので是非やられてみるといいと思います。また、なにより最上階からの眺めは絶景です。

天守最上階から西側の眺め

 最上階から西側を見下ろすと、本丸と平戸市街を見渡せます。

天守最上階から南西方面の眺め

 本丸と二の丸まで見渡すことができます。赤線で示してみました。ざっくりですがこんな感じでしょう。

天守最上階から南側の眺め

 下に見えるのは平戸市営相撲場らしいです。屋根の下に土俵があります。その向こうが懐柔櫓です。その先は瀬戸内海(平戸瀬戸と呼ばれているようです)で、小さく見えている赤い橋が平戸大橋です。

天守最上階から見る見奏櫓

 東側を見ると見奏櫓を見下ろすことができます。その先は海(平戸瀬戸)です。眺望が素晴らしいですね。

天守最上階から見る北側の眺め

 北の方向を見ると平戸湾が一望できます。平戸湾を挟んだ向こう側には「松浦資料博物館」や「平戸オランダ商館」まで望むことができます。

見奏櫓側から見上げた天守
見奏櫓側から見上げた天守

 模擬天守ではありますが、なかなか見応えのある天守です。こっちから見た天守の方がかっこいいですね。

天守南側の石垣

見奏櫓

見奏櫓

 天守から東へ少し降っていくと見奏櫓(けんそうやぐら)があります。昭和37年、天守と共に再建されています。眼下に平戸瀬戸が見渡せるので絶好の監視ポイントだったと想像します。中は休憩スペースになっています。

懐柔櫓

懐柔櫓

 見奏櫓からさらに降って南の方には懐柔櫓(かいじゅうやぐら)があります。こちらも昭和37年、天守と共に再建されています。現在は、2021年4月に開業した日本100名城初の常設の宿泊施設「平戸城CASTLE STAY懐柔櫓」となっています(有料予約制)。一度でいいから泊まってみたいですね。

乾櫓

乾櫓

 北虎口門から南に行くと乾櫓があります。こちらも昭和37年、天守と共に再建されています。平戸城の再築当時、二の丸御殿を守護していたとされる櫓。平戸の乾の方角(北北西)にあたることから、乾櫓と呼ばれました。

亀岡神社

亀岡神社

 二の丸跡に亀岡神社があります(右奥に天守も見えます)。明治13年に建立された平戸松浦藩主を祀る神社。10月の「平戸おくんち」では国指定無形民俗文化財の平戸神楽二十四番が奉納される。

神楽殿

 境内にある神楽殿は国の登録有形文化財になっているようです。

アクセス

公共交通機関だとちょっと不便ですね…
車で行くのがおすすめです。

駐車場は3箇所あるようですが、「平戸市未来創造館COLAS平戸」の前の駐車場が無料で一番広いです。駐車場の南側から北虎口門まで行ける歩道があります。

スタンプ設置場所

平戸城天守閣

 模擬天守が「歴史体験アミュージアム」になっています。100名城スタンプは受付窓口に設置されています。

開館時間にご注意ください。入場料が必要です。

タイトルとURLをコピーしました