仙台城

登城記

日本100名城
所在地:宮城県仙台市

登城日:2018年7月

 伊達家に相応しい大規模かつ天然の要害を活かした堅固な守りのお城。本丸北壁石垣などの石垣は見事、他にも様々な積み方の石垣を見ることができます。本丸からの眺望も最高です。

魅力度ポイント

 広大かつ堅固な縄張りを感じながら三の丸、本丸を散策するのがおすすめです。

点数はあくまでも個人的な見解です。魅力度ポイントの詳細については以下ご参照ください。

概略

 仙台城は、初代仙台藩主伊達政宗によって、1600年(慶長5年)から2年余りで築かれ、1602年(慶長7年)に完成したと言われています。伊達政宗は青葉山に石垣、土塁によって本丸を築き、御殿を建てています。天守は作られなかったようです。しかし、山上の本丸は不便だったため、二代藩主の伊達忠宗は1639年(寛永12年)に二の丸を造営し、居住と政務を移したようです。さらに、同じ時期に青葉山の麓に三の丸も作られています。

 城は、青葉山の丘陵とその麓の広瀬川の河岸段丘部分を中心に形成されています。東に広瀬川、南に竜の口渓谷の断崖、西が険しい山に囲まれた天然の要害となっており、山上に本丸、本丸の北側に三の丸、北西側に二の丸といった構成になっています。 

 江戸時代を通じて、約270年間伊達家の居城であったが、廃藩置県・廃城令で城は廃城となります。その後、明治、大正にかけて多くの建造物は解体され、さらに第二次世界大戦の空襲により、大手門脇櫓等が焼失しています。現在、二の丸跡地には東北大学のキャンパス、三の丸跡地には仙台市博物館があり、本丸やその周辺地区は青葉山公園として市が管理されているようです。

別名青葉城
城地種類平山城
築城年代慶長5年(1600年)   
築城主伊達政宗
主な城主伊達氏
文化財史跡区分 国指定史跡

見どころ

縄張

青葉山公園の全体図

 国際センター駅のエントランス広場付近に青葉山公園の説明板がありました。現在の地図になっていますが、山上の方に本丸跡があり、その麓に三の丸二の丸があったことがわかります。現在の建物や道に忠実なので全体像はわかりやすいです。

仙台城の模型図

 こちらは別の所にあった説明板についていた仙台城の模型図です。こちらは往時の仙台城の全容が模型になっています。上の現在の地図と見比べてみるとどこに何があったのか分かりやすいかもしれません。地図の向きは両方とも同じです(右が北になっています)。

大手門跡

大手門跡の脇櫓と北側の土塀・石垣

 国際センター駅の方(北側)から大手門跡へ行くと、石垣とその上にある土塀、その向こうに脇櫓が見えてきます。

大手門北側土塀と石垣

 石垣があって、その上に土塀があります。この時は、土塀の一部が植物に覆われていました。

大手門北側土塀の南東隅

 この大手門北側土塀は、大手門が焼失した際に被災を免れたようで、現在仙台城に残る唯一の建造物となっています。

南面の大手門北側土塀

 ただ、2011年3月11日の東日本大震災で被災したようで、一部崩壊したようです。現在はきれいに修復されています。

大手門北側土塀の裏側

 土塀の裏側はこんな感じになっています。

支倉常長の像

 大手門北側土塁の裏手の方には、支倉常長の銅像がありました。仙台藩の武将だったからここにあると思われます。なかなか立派な像です。

大手門脇櫓

 脇櫓はその名の通り、大手門の南側にあって、大手門と一体でL字形を成していたものです。大手門はこの写真の右側にあったと思われます。

大手門脇櫓

 大手門が焼失した際に脇櫓も焼失したようですが、昭和42年(1967年)に脇櫓は再建されました。

大手門跡

 大手門があったと思われる場所から見ると、左に土塀があり、右に脇櫓があります。この間に大手門があったということですから、かなり大きな門だったことが想像されます。

大手門跡の説明板に載っていた古写真

 大手門跡に説明板がありました。昭和20年(1945年)に焼失するまでは門自体は残っていたわけで、写真も残っているようです。これを見ると、仙台藩という大藩にふさわしい相当に立派な門です。実際に見たかったですね。

中門(なかのもん)跡

大手門から登っていった先に見える中門跡

 中門(なかのもん)は、大手門から本丸に登る途中に設けられていた門です。二階建だったようです。

中門跡の石垣(北側)

 登ってきた道を左に直角に曲がって門に入るような感じです。手前が大手門側(北側)の石垣です。

中門跡の石垣(南側)

 本丸側(南側)の石垣です。

本丸側から見た中門跡

 真っ直ぐ進んで、直角に左に曲がり、さらに右に曲がって本丸へ登っていく感じです。この北と南の石垣の間に門があったことを想像すると、大手門ほどではないにしても、中門も相応に立派な建造物であったことが偲ばれます。

三の丸

三の丸の水堀(長沼)

 三の丸は水堀と土塁に囲まれた曲輪です。写真は三の丸の東側の水堀長沼と呼ばれているようです。写真だと樹木で見にくいですが、水堀の右側に土塁があります。

三の丸の水堀(五色沼)

 こちらは三の丸の北側にある水堀五色沼と呼ばれています。長沼よりも堀幅は広そうです。

五色沼

 そして、なんとこの五色沼が日本フィギュアスケートの発祥の地らしいです!明治中期、外国人がこの場所でスケートを始めたようですね。

子門跡

 五色沼長沼の間を通る感じで三の丸の出入口となっていたのが子門(ねのもん)です。

子門跡の石垣

 子門跡には道の両脇に石垣が残っていましたが、この石垣は昭和に修理されたものらしいです。

子門跡から見る三の丸の土塁

 子門跡を通り、長沼側を見ると三の丸の土塁を内側から見ることができます。

伊達政宗の胸像

 現在、三の丸には仙台市博物館が建っています。その前に伊達政宗の胸像がありました。大きくて精緻に出来ているので見応えあります。(私が行った時は仙台市博物館の前にありましたが、今は仙臺緑彩館の前にあるようです。移されたのでしょうか・・)

巽門跡

 仙台市博物館を過ぎて本丸への登城路にさしかかる辺りに巽門(たつみもん)跡があります(写真の奥に見えているのが仙台市博物館)。昭和20年の空襲で焼失してしまったようです。現在は、巽門の礎石などが復元整備されています。

造酒屋敷跡の説明板

 三の丸の巽門と清水門の間には、大和(奈良県)から招いた酒造り職人の屋敷酒造りに関わる施設があったようです。

仙台藩御用酒発祥の地の石碑

 そこで仙台藩の御用酒が造られたということで、「仙台藩御用酒発祥の地」の石碑が立っていました。

清水門跡

 巽門から本丸へ登城する途中に清水門跡があります。

清水門の石垣

 石垣がけっこう高く積まれています。本丸の石垣とはまた違った積み方で、野面積みのような感じです。

三の丸の登城路

 清水門から先の登城路はかなり屈曲しています。

登城路途中の石垣

 石垣も所々にありました。さすが大藩の城の本丸へのルートだけに堅固な守りを感じます。

沢門跡

 大手門からの登城路との合流点にある門が沢門(さわのもん)です。遺構はあまり確認できませんでしたが、ここまで曲がりくねった道となっていて、側面攻撃などによる守りが強固なことを感じます。

本丸北壁石垣(ほんまるきたかべいしがき)

登城路から見える石垣

 登城路を登って本丸に近づいてくるとまず見えてくるのがこの本丸北壁石垣です。迫力あります。相当に高いです。最も高いところは約17mあるそうです。

本丸北壁石垣

 本丸北壁石垣は、本丸の北側にあります。切石を使用した布積みの石垣です。

本丸北壁石垣と登城路

 この石垣に沿っていくと本丸詰門跡があり、そこから本丸に入っていくことができます。

本丸北壁石垣の北東隅

 石垣の隅は算木積みになっており、さらに角の部分は「江戸切り」と呼ばれる加工で稜線を削り美しく見せています。

本丸から見た本丸北壁石垣

 本丸から本丸北壁石垣を見下ろすとこんな感じです。いや〜高いですね。

本丸北西石垣

本丸北西石垣

 本丸北壁石垣を通り、本丸詰門跡を過ぎてさらに行くと本丸北西石垣と呼ばれている石垣があります。(本丸詰門跡に向かって右側)

本丸北西石垣

 本丸北壁石垣とはまた違った石垣の積み方を見られます。

本丸北西石垣

 仙台城の石垣は地震の崩壊などで何度か修理が行われています。本丸北西石垣は、東日本大震災の崩落では、全体の約7割を修理したようです。当たり前のように建っているように見えて、数々の復旧の歴史があることを忘れてはいけませんね。

本丸

本丸鳥瞰図

 本丸跡に仙台城本丸の鳥瞰図がありました。この絵からも断崖や険しい山に囲まれた非常に堅固な城であったことがイメージできます。

酉門跡

 本丸北西石垣の先(南側)には、酉門(とりのもん)跡があります。残念ながら金網で通行は制限されています。

大広間跡

 本丸詰門跡から入っていくと目の前に大広間跡があります。約430畳の大規模な御殿だったようです。礎石の遺構表示で展示されています。

石垣モデル(野面積み)

 大広間跡の前には石垣のモデルがありました。仙台城は築城された時代によって石垣の積み方に違いがあり、こちらは築城初期の野面積みのモデルです。

石垣モデル(切込接)

 こちらは17世紀後半以降の切込接のモデルです。

伊達政宗騎馬像

 そして、著名な伊達政宗騎馬像です。本丸の目立つところにあります。

伊達政宗騎馬像(後ろ姿)

 後ろ姿もパチリと1枚。カッコいいですね。

懸造跡

 本丸の東側の断崖には懸造跡(かけづくりあと)があります。崖に突き出した建物のことで、清水寺の舞台の構造と同じものをイメージするとわかりやすいです。懸造の建物は伊達氏の居城の特徴らしく、米沢城の庭園にもあったと伝えられているようです。作るのに手間かかりそうなのに、伊達政宗の好み?ですかね。

眺望(北東)

 本丸北壁石垣の上あたりからの景色です。天気がイマイチでしたが、眺望は素晴らしいです。仙台市街が見渡せます。

眺望(東)

 東側方面の景色です。下に広瀬川が蛇行しているのが見えます。広瀬川の向こうの崖の上の方に瑞鳳殿があります。

宮城縣護国神社

 本丸跡の一部に、現在は宮城縣護国神社があります。

おすすめ登城ルート

 仙台城が出来た当時は、三の丸から登る道しかなかったようですが、大手門が出来てからは大手門ルートが正式な登城路になったと考えられています。ですので、下記は大手門から登城するルートです。

おすすめルート(往復+見学で約60分)
  • 国際センター駅
    地下鉄東西線「国際センター駅」で下車
    国際センター駅前
  • 大手門跡
    大手門跡を通って、脇櫓を左に曲がり本丸へ
  • 中門跡
    本丸への中間地点くらいの中門を通りさらに登る
  • 本丸北壁石垣
    高くて迫力ある本丸北壁石垣が見えてきます
  • 本丸北西石垣
    本丸詰門跡を一旦通りすぎると本丸北西石垣です
  • 本丸跡
    通り過ぎた本丸詰門跡から本丸内へ
  • 沢門跡
    帰りは、本丸詰門跡から来た道を戻し、沢門跡を右へ曲がり三の丸方面へ
  • 清水門跡
    屈曲する道を下っていくと清水門跡の石垣が見えます
  • 巽門跡
    さらに下ると巽門跡へ出ます
  • 三の丸(仙台市博物館)
    今は仙台市博物館がある三の丸
  • 子門跡
    子門跡から三の丸の外へ
  • 長沼/五色沼
    三の丸の堀である長沼/五色沼を見る
  • 国際センター駅
    五色沼の前の道路の反対側へ渡って「国際センター駅」に戻る

アクセス

⚫︎バスの場合
 ・JR「仙台駅」西口バスプール16番乗り場より、仙台市観光バス「るーぷる仙台」で臨時停留所「仙台城跡」下車
 ・地下鉄東西線「八木山動物公園駅」バスプール3番乗り場より、市営バスで「仙台城跡南」下車
 ・地下鉄東西線「青葉山駅」バス乗り場より、市営バスで「仙台城跡南」下車

⚫︎徒歩の場合
 バスはいずれも仙台城の本丸跡に着くようです。城跡を巡るのであれば、地下鉄東西線「国際センター駅」から徒歩で行くことをお勧めします。本丸までは約20分です。

⚫︎車の場合
 本丸跡の南側に青葉城有料駐車場があります。

令和4年3月の福島県沖地震以来、通常のルートでアクセスできず、一部被災箇所を避けて迂回ルートを通る必要があるようです。最新情報や詳細は仙台市の公式サイトでご確認ください。

スタンプ設置場所

 仙台城の日本100名城スタンプは下記に設置してあります。(最新情報や詳細は公式サイトにてご確認お願いします。)

仙台城見聞館

本丸跡にあるガイダンス施設です。
開館時間、休館日にご注意ください。入館無料です。

周辺スポット

瑞鳳殿(ずいほうでん)

 仙台市にある伊達政宗霊廟です。広瀬川の挟んで仙台城の東側の丘にあります。伊達政宗だけでなく、伊達忠宗(二代)や伊達綱宗(三代)などの伊達氏に関連する霊廟があります。豪華絢爛な建築になっています。仙台城を訪れた際は是非こちらにも足を運んでみてもいいかと思います。

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