松前城

登城記

日本100名城
所在地:北海道松前郡松前町

登城日:2023年7月

 幕末に築かれた日本式の最後の城郭です。北海道で唯一の天守でしたが、昭和になって焼失してしまいました。現在は外観復元された天守が立っております。本丸御門の櫓門が現存しています。

魅力度ポイント

 日本式最後の城郭として築城されたため、戦国時代の城には見られない大砲の台場跡がある。戊辰戦争では旧政府軍と新政府軍が奪い合った城として、戦いの痕跡も残る。本丸御門と天守は一見の価値あり。

点数はあくまでも個人的な見解です。魅力度ポイントの詳細については以下ご参照ください。

概略

 松前城の前身は福山館といって、松前慶広(よしひろ)の代に1600年(慶長5年)から1606年(慶長11年)にかけて建設された。幕末、江戸幕府は蝦夷地近海に出没する異国船の増加を脅威を感じ、海防強化のため、松前藩主の松前崇広(たかひろ)に1849年(嘉永2年)、新たに築城を命じた。縄張りは、日本三大兵学者と呼ばれた長沼流の市川一学に依頼され、1854年(安政元年)に完成した。この時に三重の天守があがり、また沿岸防備のためか三ノ丸には7基の砲台が配備されたようである。

 しかし、長く存続しなかったようで、戊辰戦争では新撰組副長だった土方歳三を中心とした旧幕府軍によって攻められ落城してしまう。その後、新政府軍が城を奪回したが、戦禍のため城内も大きく被害を受けた。明治になって取り壊しが決定し、明治8年までには、天守、本丸御門、本丸御殿を残し、他の建物を解体、石垣を取り壊し、堀も埋められた。昭和24年、火災により天守と土塀を焼失した。現在は平成28年度からの保存活用計画により整備が進められている。

別名福山城
城地種類平山城
築城年代嘉永3年(1850年)
築城主松前慶広、松前崇広
主な城主松前氏
文化財史跡区分     国指定史跡、重要文化財1件、道指定有形文化財1件     

見どころ

二ノ丸

搦手二ノ門
搦手ニノ門

 三ノ丸から見た搦手ニノ門です。木造復元されたようです。縄張図によると枡形を構成していたようですので、重要な門だったと思われます。門をくぐって進むと本丸と天守になります。

搦手二ノ門の二ノ丸側の南にある石垣跡

 搦手二ノ門から二ノ丸に入って左側(南)に、石垣跡がありました。元々ある現存遺構なのかわかりません、おそらく復元整備されたものだと想像しますが、内枡形の一部を形成していたと思われます。

三本松土居

 搦手ニノ門の前の広場(外枡形と思われる)には石垣で丸く囲まれた三本松土居があります。

搦手ニノ門から見た三ノ丸方向

 このあたりからも海が見えます。もっと晴れていれば眺望はさぞ良かったことでしょう。海側からの敵を迎撃することを想定していたことがよくわかるような気がします。

二重太鼓櫓
二重太鼓櫓跡

 この櫓は二ノ丸南東隅にあり、城内三カ所ある二重櫓のうち、最も重要な位置にありました。海岸、市街地、三ノ丸を見渡す場所にあります。たしかに、立ってみると海まで広範囲によく見渡せます。

二重太鼓櫓跡から見た三ノ丸

 二重太鼓櫓跡から東の方向を見ると、二ノ丸と三ノ丸の間の堀と三ノ丸がよく見えます。また、三ノ丸の天神坂門跡も見えます。

二重太鼓櫓跡から見た三ノ丸

 さらに東南方向を見ると、三ノ丸に7基作られたという砲台(台場)跡の「五番台場跡」も見えます。戦国時代の城では見られない防備ですので興味深いです、まさに大砲が登場した幕末の城ですね。もっと間近で見て、さらに7基全て見てくればよかったと帰ってから思いました・・

本丸

松前城資料館
松前城資料館入口

 搦手ニノ門から入ったら、すぐ目の前に松前城資料館の入口があります。復興天守の内部が資料館になっています。入口右の石碑「松前城」は、松前町出身の書家、金子鷗亭先生による文字だそうです。地下1階、地上1階から3階までの4階建ての造りになっていて、最上階からは津軽海峡を望むことができます。松前城に訪れた際は入館をお勧めします。

本丸御門
本丸御門

 本丸御門(大手門)は、江戸末期に完成した松前城に残る唯一の現存遺構です。昭和25年(1950年)8月29日に重要文化財に指定されています。 切妻造り、銅板葺き、三間一戸両脇戸付き櫓門で、石垣は切込接で、一見に値する立派な門です。

本丸御門の内側

 本丸御門を内側(本丸御殿跡側)から見る。松前城資料館の出口から出ると本丸御門の内から外側に出られます。

本丸御門と天守

 本丸御門の南西側から天守と一緒に眺めることができます。

天守
天守

 天守は復興天守です。昭和24年6月5日、火災により国宝であった三層天守と土塀を焼失しましたが、昭和35年に鉄筋コンクリート製の復興天守が完成します。翌年、付帯施設が竣工し、復興天守は松前城資料館としてオープンしました。もう60年以上前から立っているんですね。これはこれで歴史になっている気もします。

天守の石垣に残る銃弾の跡

 天守石垣には戊辰戦争時の銃弾の跡があります。土方歳三の旧幕府軍と新政府軍との壮絶な戦いが想起されます。

本丸(その他)
本丸御殿跡

 本丸御門の北側には本丸御殿跡があります。今は芝生の広場として綺麗に整備されています。

本丸から見た海

 本丸御門の南から海を望むことができます。津軽海峡が一望できます。

天守の前のモニュメント

 天守の南の広場にあるモニュメントのうしろに立つと、ちょうど天守がバックに入って、天守と一緒に撮影できる良いスポットになっています。

二ノ丸から見た本丸の南側

 天守の南側の広場を二ノ丸から見上げています。やはり、本丸は一段高くなっていることがよくわかります。

アクセス

バス…函館バス【松城バス停】下車 徒歩10分

公共交通機関だとちょっと不便ですね💦
車で行くのがおすすめです。城の南側に無料駐車場があり、そちらが近くて便利です。

スタンプ設置場所

松前城資料館

 復元天守そのものが松前城資料館になっています。資料館の中に100名城スタンプがあります。(スタンプは中に入らないと押せません。)

開館時間と休館日にご注意ください。
冬期閉館期間は「松前町町民総合センター」でスタンプの取り扱いがあるようです。

周辺スポット

松前藩屋敷

 松前城の北側、車で約5分くらいの距離のところに松前藩屋敷があります。テーマパークのような感じで、幕末の松前の町を再現した建物が14棟(奉行所、廻船問屋、商家など)あります。江戸時代の雰囲気を味わうことができます。

町並み
商家と思われる建物
廻船問屋と思われる建物

松前港 福山波止場

 松前城の南、車で約3分のところにあります。「道の駅 北前船 松前」のテラスから行くことができます。2017年に日本遺産「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」を構成する文化財のひとつに選ばれています。明治になって本格的な波止場を建設するため、廃城となり解体された松前城の石垣を転用して作られたようです。北前船の寄港もあったようです。道の駅からすぐですので、寄ってみると面白いかもしれません。

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