九戸城

登城記

続日本100名城
所在地:岩手県二戸市

登城日:2019年4月

 豊臣秀吉の天下統一最後の戦いの舞台となった城。広大な二ノ丸と本丸、堀と石垣、高さのある切岸など見応えあります。とくに春の桜のシーズンがお勧めです。

魅力度ポイント

 広々とした城域はとても気持ちが良いです。大規模な曲輪や切岸は一見の価値あり。特に大木の桜が咲いている季節は最高です。

点数はあくまでも個人的な見解です。魅力度ポイントの詳細については以下ご参照ください。

概略

 九戸光政(九戸政実の4代前)が明応年間(1492年〜1501年)に築城したと言われている。1591年(天正19年)の九戸政実の乱(奥州仕置を行う豊臣秀吉に対して起こした反乱)が豊臣政権に鎮圧された後は、蒲生氏郷によって改修された。その後、南部家の本城として南部信直が一時期居城としたが、1597年(慶長2年)の盛岡城築城により、南部家の居城は盛岡城に移され、1636年(寛永13年)には、廃城となっている。

 九戸城は、東に猫淵川、西に馬淵川、北に白鳥川という三方を川に囲まれた河岸段丘上に築かれている。城内は空堀によって、本丸、二ノ丸、三ノ丸、若狭舘、外舘(石沢館)、松ノ丸に区切られ、本丸の堀には東北最古といわれる石垣が残っている。

 1989年(平成元年)から史跡環境整備事業が行われ、史跡公園化が進められている。1935年(昭和10年)に、国指定の史跡となっている。

別名福岡城
城地種類平山城
築城年代明応年間(1492〜1501年)   
築城主九戸氏
主な城主九戸氏、南部氏
文化財史跡区分 国指定史跡

見どころ

縄張

九戸城ガイドハウスにあった案内図

 九戸城の城域は約36万平方メートルで東京ドーム10個分あるらしいです。かなり広いですが、九戸城ガイドハウスがある場所がもう城内といっていいので、そこからすぐに城巡りになる感じです。

 ガイドハウスがあるこの場所が城の三ノ丸にあたると思われます。三ノ丸の東側に本丸があり、本丸の南側と東側を囲むように二ノ丸があります。南側から回って城を巡っていきたいと思います。

三ノ丸

九戸城ガイドハウスの駐車場にある石碑と本丸の土塁

 九戸城ガイドハウスの駐車場の端っこの方に「九戸城跡」の石碑がありました。その向こうに見えているのが本丸の土塁(切岸)です。ガイドハウスに着いてすぐに本丸が見えるとテンション上がりますね。ここから見ても高さと迫力があります。

九戸城跡ガイドハウス駐車場近辺(三ノ丸)とその先の本丸

 九戸城跡ガイドハウスとその駐車場は三ノ丸跡地だと思います。本丸へ正面に向かって進んでいく道(写真右側の橋がかかっている道)が整備されていますので巡りやすくなっています。

三ノ丸と本丸の間

 その道を進んでいくと本丸の切岸の下に突き当たります。

本丸断崖下にあった案内板

 本丸切岸に突き当たった場所に案内板がありました。右に行くと二ノ丸大手左に行くと二ノ丸搦手に、それぞれ本丸の周りを回って行けるようです。今回は右に曲がって南まわりで行きたいと思います。

案内版の左側(北の方を見る)
案内板の右側(南の方を見る)

 左と右のどちらから行くにしても、本丸切岸の崖下に沿った道から行けるようになっています。
それにしても崖感がすごいです。とても登って攻めていける感じがしません…

三ノ丸と本丸の間の堀
三ノ丸と本丸の間の堀 その1

 三ノ丸と本丸の間には堀跡と思われるものがありました。写真の左側が三ノ丸の土塁、右側が本丸の切岸になります。 

三ノ丸と本丸の間の堀 その2

 別の位置から見た三ノ丸と本丸の間の堀です(左側が三ノ丸、右側が本丸)。堀底には水が溜まっていました。川から引き込んだのか、湧き水なのか、雨水が溜まっていたのかわかりませんが、もしかしたら往時は水堀だったのかもしれません。
 写真に堀を渡る遊歩道が写っています。道が整備されているということは、元から湿地っぽいぬかるんだ感じの土壌なのだと思います。深田跡だったのかもしれません。

二ノ丸

二ノ丸南側の崖(切岸)
二ノ丸の崖(切岸)と二ノ丸大手への道

 三ノ丸から本丸の崖にあたって、崖に沿って南まわりに進んでいくと、左側に二ノ丸の崖(切岸)が見えてきます。二ノ丸大手までは二ノ丸と松ノ丸の間の堀跡を歩いていく感じです。

二ノ丸の崖(切岸)

 おそらく切岸であろう二ノ丸の崖も相当に高いです。10m以上はあろうかと思います。

二ノ丸大手
九戸城跡の石碑

 しばらく歩いて行き、左を見上げたら「九戸城跡」の石碑が見えてきます。ここが二ノ丸大手です。

二ノ丸大手の虎口(二ノ丸の外側から見る)

 二ノ丸には、出入口の虎口が3ヶ所あったようで、ここが正面とされる二ノ丸大手です。

二ノ丸大手の虎口(二ノ丸の内側から見る)

 どうやら往時は方形の枡形虎口だったようですが、残念ながら今ではそこまではっきりとした方形の空間は確認できません。ただ、虎口っぽさは十分感じられます。

二ノ丸大手の説明板

 二ノ丸大手に入って登ったあたりに説明板がありました。

二ノ丸跡
二ノ丸大手付近から二ノ丸内を見る

 二ノ丸大手を登り切ると二ノ丸が見渡せます。かなり広大な曲輪です。左前方に見えている桜がある所が二ノ丸と本丸の間の堀になります。

二ノ丸から本丸を望む

 二ノ丸は本丸を逆L字型(本丸の東側と南側が二ノ丸)に囲むような形になっています。写真の植え込みがある所が空堀で、その向こうに一段高くなっている所が本丸です。

九戸城の立体模型

 二ノ丸に九戸城の立体模型がありました。地形をよく生かしている城だということがよくわかります。

本丸と二ノ丸の間の空堀(東南側)
本丸と二ノ丸の間の空堀(本丸東側)

 写真の左側が本丸、右側が二ノ丸です。南から見ています。南北に伸びている空堀です。本丸を囲んでいるだけあって、かなり規模が大きいです。

本丸の南東隅櫓跡

 二ノ丸から見た本丸の南東隅櫓跡です。空堀越しに見ると迫力があります。

本丸と二ノ丸の間の空堀(本丸南側)

 本丸の南東隅櫓の南側の空堀です。西側の堀の端には石垣も見えます。

本丸

本丸虎口跡
本丸虎口跡の石碑

 本丸の南側にある虎口です。説明板は本丸南虎口となっています。

二ノ丸から見た本丸虎口

 蒲生氏郷によって改修された後の虎口だと思われます。石垣も残っていますね。

本丸虎口の石垣

 本丸側に残されていた石垣の一部分だと思われます。下部の方しか残っていない状態のようです。

本丸虎口内から本丸側を見る

 かなり大きめの虎口だと思います。二ノ丸から入って、右へ曲がると本丸に入れるようになっています。

本丸と二ノ丸の間の空堀(南側)
本丸と二ノ丸の間の空堀(本丸南側)

 本丸南虎口から西にまっすぐ伸びている空堀です。写真の左側が二ノ丸、右側が本丸です。本丸側には石垣が結構残っています。

本丸の石垣

 東北最古と言われる石垣で、蒲生氏郷の改修時に穴太衆(あのうしゅう)によって築かれたものと考えられています。

本丸側から見た空堀

 堀幅、深さもあり、石垣も残っていて、九戸城で一番印象的だったです。

本丸跡
本丸跡の土塁の上から見る

 本丸は九戸城の中で最も高い所にあります。一辺が約100mの方形をしているそうです。東と南は堀を挟んで二ノ丸があり、北と西は切岸状の断崖になっています。
 写真の右下が二ノ丸との間の堀で、その上に写っているのが本丸南虎口です。左側が本丸です。

本丸内から東側を見る

 約100m四方とあって、本丸はかなり広い平場になっています。

本丸から西側方面(三ノ丸)を見る

 西側が断崖の切岸になっていて、眺望が良いです。真下まではよく見えませんが、三ノ丸にある九戸城ガイドハウスが眼下に見えます。

本丸追手門跡
本丸内部から追手門跡を見る

 本丸の東側、二ノ丸との出入口が虎口となっていて、そこが追手門跡です。

虎口から本丸追手門跡を見る

 門と木橋があったところです。二ノ丸との間の堀には今も橋がかけられています。

追手門跡の橋の上から見た堀(北の方を見る)

 その橋で、本丸と二ノ丸を渡ることができます。橋から見る空堀も最高にいい感じですね。左下の方に石垣が少し残っています。堀は南北に伸びており、北側の切岸まで続いています。

北側の切岸の下から見た本丸と二ノ丸の間の堀と追手門跡にかかる橋

 ちなみに、北側の切岸の下まで歩いていって堀を見上げた写真です。左側は二ノ丸で、右側は本丸です。真ん中に堀があります。堀の上の方に追手門跡にかかっている橋も見えます。こんな感じで堀の終端部が崖(切岸)まで行って落ち込んでいる所を下から見上げられるお城はあまりないように思います。九戸城ならではかもしれません。

石沢館(外館)

二ノ丸搦手付近から東側を見る

 二ノ丸搦手門跡から堀底の方へ降りていくことができます。二ノ丸から降りていくと目の前に石沢館(外館)が見えます。写真左側が石沢館、真ん中の堀を挟んで右側が二ノ丸です。

北側から見た石沢館

 本丸は改築された福岡城で、九戸城旧来の姿を留めているのは石沢館、若狭館だそうです。

北側から見た石沢館と二ノ丸

 二ノ丸搦手を降りて左回りに行くと堀底を通り抜けて、本丸の北側の崖(切岸)に沿って歩けるようになっています。遊歩道に沿っていくと三ノ丸にある九戸城ガイドハウスに戻れます。
 写真は堀底を通り抜けて振り返って見た景色で、左側が石沢館右側が二ノ丸です。間にある堀は幅がとても広いです。

九戸城の桜

本丸追手門付近の桜

 城の遺構ではありませんが、九戸城はあまりにも桜が綺麗でしたので、桜だけ撮った写真を集めて見ました。登城したタイミングがたまたま満開の時期でとてもラッキーでした。

本丸南虎口の桜

 虎口の土塁上に咲く桜です。1本の大きな桜が満開で、素晴らしかったです。

本丸の桜

 1本1本が大きいです。本丸と二ノ丸の間に特に数多く並んでいます。

本丸追手門跡の桜と堀

 堀沿いに桜が並んでおり、堀と一緒に写してみました。映えますね。桜の季節は特にオススメです。

アクセス

公共交通機関だと行きづらいです。最寄り駅の二戸駅(東北新幹線/いわて銀河鉄道)からバスのようです。車でいくのがおすすめです。

車の場合、九戸城ガイドハウス駐車場がありますので、こちらがオススメです。ガイドハウスの目の前が本丸です。100名城スタンプもガイドハウスにあります。

九戸城ガイドハウス

スタンプ設置場所

 九戸城の続日本100名城スタンプは、下記に設置されています。(最新情報や詳細は公式サイトにてご確認お願いします。)

・九戸城ガイドハウス
・二戸市埋蔵文化財センター
※詳しくはこちら

開館時間、休館日にご注意ください。

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